弾性ストッキングは、エコノミークラス症候群を予防するための医療装具の一つです。
エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢を取り続けて発症する静脈血栓塞栓症(VTE)の俗称です。これを防ぐために、医療系の研究者によって『VTEの診断、治療、予防に関するガイドライン』が作成されました。
その中で、VTEの予防に効果的な療法の一つとして提案されたのが、弾性ストッキングです。弾性ストッキングは、足首からふくらはぎに向かって段階的に圧迫圧が弱くなる作りになっており、「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎの筋肉のポンプ作用を増強させる働きがあります。
熊本地震の際には、厚労省による公助により調達されたという実績がありますが、多くの被災地は、民間の企業の有志によって供給されているため、被災地での安定供給の仕組みはまだ整っていません。
そこで、『災害時用弾性ストッキング協会』が発足し、災害時に特化した「災害時用弾性ストッキング」の開発や、災害時の医療系専門職派遣チームの仲介のもと、安定的に共有できる仕組みづくりに取り組んでいます。
※参考:平成30年5月1日発行「いのちと健康を守る避難所づくりに生かす18の視点」P36「災害用弾性ストッキングによるエコノミークラス症候群予防対策のすすめ」(山下竜一氏/災害用弾性ストッキング協会著)