地震や暴風等により、建物の屋根に被害を受けた際の対応は、業者が修繕を行うことになります。しかし、被災軒数が多い場合、業者が入るまでに数か月待ちとなるため、それまでの間雨露をしのぐために屋根の破損部分にシートを張ることになります。
屋根へのシート展張は高所作業となり、大変危険を伴うため、通常は高所作業に慣れた業者が行うことになりますが、日本国内にシート展張を本職とする業者は存在せず、そのノウハウは、専門技術を有するNPO法人らによって受け継がれ、日々進化を続けています。
シートを貼るまで
シートを張るまでに被害家屋の住民ができることは、濡れて困るものは、屋内の1ヵ所にまとめて、その上からシートを被せておくことです。これにより、たとえ雨漏りがあったとしても必要最低限の家財は守ることができます。被災者自身がシート展張のため屋根に上がり、転落し、亡くなられたケースも少なからずあります。命を賭してまで未経験の危険な作業をすることは勧めることはできません。
シートの張替え
シート展張そのものは応急対応であり、いずれは本工事をしなければなりません。しかし、本工事が数か月待ちとなる場合も多くあるため、本工事が入るまでにシートの張替えが必要となります。(一部、特殊な素材「ルーフィング」を活用し、数年単位で張替え不要な工法もありますが、資材入手方法や施工できる団体が限られるため、現状では一般的な普及は難しいです。)
高所でのリスクを減らすため、高所に上がる機会や上がっている時間をできるだけ減らすことがリスク回避となります。そのためには、短時間で張ることができ、できるだけ長持ちする工法が望ましいです。※工法については別途記載します。
シートの劣化について
数カ月もするとシートは破れ、雨水が浸透することで雨漏りにつながります。シート破れの原因はいくつかに大別されます
- 経年劣化
- 擦れ
- シートの選択ミス などです
①経年劣化
紫外線等によりシートが劣化し破れることです
②擦れ
シートが風にあおられてバタつく、突起物に当たり擦れる などが主な原因です。
シート内に風が入り込まない工法、また突起物は除去もしくは養生をするなどして対応します
③シートの選択ミス
シートには厚さがあり、薄いものは破れやすいです。
最低でも#3000の厚さを推奨します(#4000のシルバーシートなら更に長持ちします)
屋根のシート展張は、安全確保、工法の選択、材料選び、下準備、チームワーク、など様々な要因をかけあわせて技術を持つNPOが対応している。熊本地震(2016)では2年間、大阪北部地震(2018)では1年間、房総半島台風(2019)では1年以上経過した今でもシートの張替えをNPOが担っている。
千葉県(房総半島台風)ではNPOが自衛隊や消防士らに工法を教授することも行われた。この千葉県では現在も消防士などを対象にシート展張の講習会が開催されている。
ブルーシートよりも厚手のシルバーシート(#4000)などを使うと長持ちします。