エリアマッチング

概要

災害ボランティアセンター(災害VC)などの運営で用いられる、マッチング方法の一つ。

通常、災害VC本部で受付・オリエンテーション・グループ分け・マッチング・資機材貸し出し・などを経て現場へ送り出す。

しかし、被災地域が広域だったり、より多くのボランティアを受け入れるためには、本部だけの運営では効率が悪い場合もある。

被害が大きかった地区にサテライト(支店)を作り、マッチングなどの行程を被災地に近いサテライトで行う。

本部とサテライトとの役割分担は、地域によってさまざまである。

また、サテライトと連携して活動するエリアリーダーやエリア担当者などを設ける場合が多い。

エリアリーダーは、地域の区長や民生委員、長期的に関われる支援者などさまざまである。

地域のニーズを把握しているエリアリーダーの采配によるところが大きくなる傾向もある。

特に地域の区長など住民がエリアリーダーの役割をする場合は、初めてのことも多く負担が大きいためサポートメンバーをつけるなど配慮が必要である。

人の集まりやすい市街地に本部を置き、被災エリアのサテライトの人員を送り込むなど、使い方はいろいろと工夫することができる。

いい点ばかりでもないので、課題の項目なども参照すること。

狙いと効果

本部とサテライトを作ることで、ボランティアを受け入れること(本部)と、ボランティアを送り出すこと(サテライト)の役割分担ができる。

役割分担ができることで、全体の運営がスムーズになりやすくなる。

マッチングなどに時間がかかって、ボランティアセンターで数時間待ちぼうけ、という自体も回避できる可能性が高くなる。

活動現場に近い場所にサテライトを置くことで効率が良くなることも期待される。

災害VCのニーズの集め方にもよるが、災害VC本部では現地の状況が掴みづらいことが多い。

エリアリーダーが実際に現地を歩いて、状況を反映させたニーズの取りまとめをすることにより、「ボランティア5名の要請だったが行ってみたら5分で完了した」などというニーズと現状の乖離も少なくすることができる。

さらに、災害VCへボランティアの依頼を出せば良いということ自体を知らない住民がいることもある。

現地で住民に声をかけながら能動的にニーズを把握することが重要。

災害ボランティアセンターでの活用事例 

  • 2014年広島土砂災害(安佐北区、安佐南区)
  • 2015年関東・東北豪雨(常総市)
  • 2019年(長野市)

課題

サテライト設置に割くリソースが増える

複数に拠点を置き、役割分担するため効率がよくなる反面、サテライト運営のためのスタッフを配置する必要がある。

広域になればなるほど、サテライト増設→スタッフ増員となってしまう。

応援社協スタッフの配置や増員要請、支援経験のある外部支援団体や、地元のボランティア団体などと連携して、人材に余力をもたせるような工夫も必要。

スタッフだけでなく、サテライトに必要な備品や、貸し出しの資機材などの準備もいる。

被災地域内にサテライトを置けると、大変便利でもあるが、駐車場や水道電気、トイレなどの基本的なインフラ確保も大きな課題となる。

本部とサテライト間などの移動

効率の良い形でサテライトを設置しようとすると、どうしても本部とサテライトの距離が生まれてしまう。

過去の事例では、マイクロバスなどで本部〜サテライト間のボランティアの移動をまかなっている。

しかし、マイクロバスなどの手配は手間だけでなくコストもかかる。

災害VCの立ち上げ準備金だけではまかなえない場合もあるので要注意。

サテライトや現場までを、ボランティアの自家用車で乗り合わせにする場合もあるが、ボ本部・サテライト・現場での駐車場所の確保が必要になる。

本部スタッフとサテライトスタッフの連携

距離が生まれると、どうしても情報共有や連携が難しくなってしまう。

それぞれの役割が違うことから、どうしてもスタッフを固定化せざるをえなくなる。

それぞれの直面する課題や温度感を共有できないと、災害VCスタッフ内でのモチベーションに差が生まれてしまったり、足並みが揃わなくなる可能性もあるので気をつけたい。